この政略結婚に、甘い蜜を
寝室に連れて行かれ、「お風呂、入ってくるよ。何かあったらすぐに呼んで」と零は言って寝室のドアを閉める。

二人が眠るために用意されたベッドは、広々としていて二人が横になってもまだ余裕があるだろう。

ボウッと華恋が壁を見ていると、どれほど時間が経っていたのか、零が「お待たせ」と言いながら寝室に入ってくる。着ているパジャマは、なんと華恋とお揃いのものだった。

「妹さんに「プレゼントです」って渡されて……。ペアルックなんて初めてだから、ちょっと照れるな」

どこか嬉しそうに零は笑い、電気を消してベッドに横になる。華恋も緊張を覚えながら、広々としたベッドに横になり、震えてしまう手を必死で押さえていた。

「緊張しなくていいよ。ゆっくり休もう」

零の手が華恋の頭を優しく撫でる。今日はそういったことはしないのだと理解すると、心は少しだけ落ち着き、「はい」と答えることができた。

眠るため、華恋は零に背中を向ける。今日は朝から色々あり、体は疲れを訴えていた。重い瞼を閉じようとした時、華恋の名前を零が呼ぶ。

「……何でしょうか?」

「今週の日曜日、二人で買い物にでも行かない?華恋と少しでも仲良くなりたくて。頑張って休みを取るよ」
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