この政略結婚に、甘い蜜を
華恋が固まっている間に、店員が色々な色やサイズのバッグを持って来てくれて、華恋は零に言われた通り、バッグを手に持つ。そうして、エナメルのハートのついたピンク色の可愛らしい財布と、いくつものバッグを零がカードで支払いを済ませていく。
「あの、そんなにバッグはいりません」
華恋が零に慌てて言うと、「バッグは一つや二つ多めに持っていても損はしないでしょ」と言われ、勝手に買われていく。華恋は戸惑うことしかできなかった。
服も、財布も、バッグも、華恋がまだおしゃれをしていた頃に好きだったデザインやいつかほしいと思っていたブランドのものばかりである。まるで、最初から零はそれを知っていたかのようだ。
『ブスがブランドなんか持ったら、そのブランドがかわいそうやわ!』
ふと、あの言葉を思い出し、華恋は「そうだよね」と誰にも聞こえないような小さな声で呟く。心にあったのは、可愛い服やブランド物のバッグを買って貰った喜びではなく、虚しさだった。
「あの、そんなにバッグはいりません」
華恋が零に慌てて言うと、「バッグは一つや二つ多めに持っていても損はしないでしょ」と言われ、勝手に買われていく。華恋は戸惑うことしかできなかった。
服も、財布も、バッグも、華恋がまだおしゃれをしていた頃に好きだったデザインやいつかほしいと思っていたブランドのものばかりである。まるで、最初から零はそれを知っていたかのようだ。
『ブスがブランドなんか持ったら、そのブランドがかわいそうやわ!』
ふと、あの言葉を思い出し、華恋は「そうだよね」と誰にも聞こえないような小さな声で呟く。心にあったのは、可愛い服やブランド物のバッグを買って貰った喜びではなく、虚しさだった。