この政略結婚に、甘い蜜を
キスなんて、所詮唇と唇が触れるだけ。キスをしただけで、自分の身に何かが起きるわけではない。そう思いつつも、華恋の体は震えていく。異性とキスをするなど、今までしたことがないのだ。
『こっち見んなや、ブス!』
結婚式で一番ロマンチックな雰囲気だというのに、あの声が頭の中で響く。すると、目の前で微笑んでいる零の表情や言葉が全て嘘のように思え、華恋は考えるよりも前にゆっくり近付いてくる零の顔の前にそっと手を置いていた。
愛の誓いであるキスを拒んでしまった、それに気付いた華恋は「ご、ごめんなさい」と慌てて謝り、手をどける。一気に雰囲気を台無しにしてしまった。
華恋がチラリと零の顔を見れば、幸せいっぱいと言いたげな表情だった零の顔は、どこか悲しみに染まっている。
「ごめん、フリだけさせて」
小さな声で囁かれ、零の顔が近付いてくる。あまりにも近い距離に華恋の頬は自然と赤くなり、ドキドキと嫌でも鼓動が早くなった。だが、唇に触れるギリギリのところで零はピタリと止まり、キスをすることはなかった。
『こっち見んなや、ブス!』
結婚式で一番ロマンチックな雰囲気だというのに、あの声が頭の中で響く。すると、目の前で微笑んでいる零の表情や言葉が全て嘘のように思え、華恋は考えるよりも前にゆっくり近付いてくる零の顔の前にそっと手を置いていた。
愛の誓いであるキスを拒んでしまった、それに気付いた華恋は「ご、ごめんなさい」と慌てて謝り、手をどける。一気に雰囲気を台無しにしてしまった。
華恋がチラリと零の顔を見れば、幸せいっぱいと言いたげな表情だった零の顔は、どこか悲しみに染まっている。
「ごめん、フリだけさせて」
小さな声で囁かれ、零の顔が近付いてくる。あまりにも近い距離に華恋の頬は自然と赤くなり、ドキドキと嫌でも鼓動が早くなった。だが、唇に触れるギリギリのところで零はピタリと止まり、キスをすることはなかった。