この政略結婚に、甘い蜜を
「華恋は海外に行くのは初めて?」

ぼんやりしていると、零に話しかけられる。華恋は首を横に振った。

「家族旅行は国内しか行ったことがありませんが、学校の修学旅行で台湾とオーストラリア、あとフランスに行ったことがあります」

華恋の両親は日本が大好きなため、家族旅行は国内と決まっていた。だが、華恋が通っていたお金持ちしか通えない小中高一貫の学園の修学旅行の行き先は海外だったため、初めてではない。

「へぇ〜、どれも素敵な国だよね。僕も行ったことがあるよ。フランスのベルサイユ宮殿、とても綺麗だったな」

零の海外旅行での思い出を聞きながら、二人は泊まる予定のホテルへと向かう。ホテルに荷物を預けて観光する予定だ。だが、ホテルを前にした瞬間、華恋は固まってしまう。

「あの、私たちここに泊まるんですか?」

「そうだよ?早く入ろう」

華恋の目の前にあるのは、高層の立派なホテルだった。パッと見ただけで高級ホテルなのだとわかる。
< 47 / 186 >

この作品をシェア

pagetop