この政略結婚に、甘い蜜を
(互いに成人すれば、年齢差は関係なくなるよね?)

結婚できる年齢に彼女がなった時に、求婚してしまおう。そう零は思ったのだが、ある日からパーティーで華恋の姿をパッタリ見なくなった。

(もしかして、もう他の男のものに?)

焦った零は、慌てて使用人に華恋のことを調べさせた。そして恋人がいないことに安心したものの、令嬢とは思えないほど地味な格好をして恋愛から離れているような華恋の様子が気になってしまう。

「……華恋さんと結婚させてください。ずっと好きなんです」

何かが華恋を変えたというのは、薄々気付いた。傷付くようなことがあったのなら、自分がその傷を埋めてあげたい。その一心で零は華恋の親の元に何度も足を運び、結婚の承諾を貰った。

そして、華恋の両親や友人から華恋の好きそうな家のデザインや理想の結婚式を聞き出し、華恋の笑顔を見たいと準備をしてきたのだ。

(もしかしたら、華恋も僕を覚えているかもしれない……)
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