この政略結婚に、甘い蜜を
「そうですね。全然わからないです」

笑いながら二人は隣の水槽へと移動し、可愛らしい熱帯魚たちを見る。

「グッピー可愛いですね」

「そうだね、今度ペットショップに見に行ってみる?」

可愛い魚たちを前にすると、普段は自分から話しかけることはそれほどない華恋の口も自然と動く。

「あっ、カワウソ!すごく可愛いです!」

「うん、とっても可愛い。ご飯をあげれるみたいだし、やってみようか」

たくさんの魚や海獣を見て回り、お昼を食べるために華恋と零は水族館内にあるレストランへと足を運ぶ。レストラン内は混み合っていて、運良く空いているテーブルを見つけることができた。

「お昼の一時半からイルカのショーをやるんだって」

「見に行きたいです!早くご飯をたべないといけませんね」

水の中を華麗に泳ぎ、大きなジャンプを見せたり、芸を披露するイルカショーが華恋は好きで、目を輝かせる。すると、零がフッと優しく笑って華恋の髪にそっと触れた。

「何だか、イルカに妬けちゃうな。そういう顔は僕のことを考えている時にしてほしいのに」
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