この政略結婚に、甘い蜜を
どこか嬉しそうに零は言いながら華恋の髪を後ろで一つにまとめ、三つ編みを作っていく。できあがった三つ編みに白いチュールを巻き付け、固結びをした後、三つ編みを毛先から外側に丸めあげ、ピンで後頭部に固定する。そして、チュールが崩れないようにピンで固定し、リボンの形を整えたらヘアセットは終わりだ。

「はい、完成!すごく可愛い!」

「あ、ありがとうございます……」

自分でするよりもずっと綺麗なヘアセットに華恋は驚く。ニコニコとする零に、「どうしてこんなヘアセットができるんですか?」と訊ねた。

「ん〜、華恋を僕の手で可愛くしてあげたいなって思ったから」

頑張ったら案外覚えられるものだね、そう嬉しそうに零は笑うと、スマホで色々なヘアアレンジの写真を見せてくる。

「今度、二人でどこか出かける時、今度はこのヘアアレンジにしてもいい?」

「は、はい……」

やった、と零はまるで子どもがプレゼントを貰った時のように喜ぶ。その横顔を見て華恋の心は少しまた動き、呪いがかかって立ち止まるを繰り返していく。
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