この政略結婚に、甘い蜜を
華恋たちのクラスでは、「コスプレカフェ」をすることになっている。アニメのキャラや童話のキャラなど、好きなキャラの衣装を用意してコスプレするのだ。華恋はフリルや花がたくさんついたドレスを用意しており、お姫様にコスプレすることに胸を弾ませる。

「学園祭、すごく楽しみ!」

鼻歌を歌いながら華恋が歩いていると、廊下の角で傑と出会う。傑は、学園祭の準備の途中で先生に呼び出されていた。

「あれ?もう準備終わりなん?」

「うん、もう遅くなってきたから。それに準備はかなり進んでいるし」

「へえ、それはご苦労様」

どこか棘のある言い方だが、華恋はその棘の中に優しさがあることを知っている。いつの間にか華恋の手からダンボール箱が奪われているのが、その証拠だ。

「暇やし、運んだってもええよ」

「お願いします!」

この半年で、華恋は傑との距離がグッと近付いたのではと思っていた。クラスメートや友達がいる教室では挨拶程度だが、こうして二人きりになると少し話せるようになったからである。
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