【短編】色褪せない夢
.
.
.
「しらばっくれんなよ、お前がやったんだろ」
無数の傷でボロボロの姿の女の子の肩を抱いた瑞樹の声は、冷たくて
.
.
「風紀を乱す奴はこの場所にはいらない
お前が気安く来ていい場所だと思うな」
汚いものを見るような目の瑠夏
.
.
「すぅちゃん、、信じてたのに……」
今にも泣き出しそうな日向
.
.
何も言わずに哀しい目をした優雨と
唇をかみしめて、私の肩を抱く大翔
.
.
「私はやってない!!」
「…お前がそういう奴だとは思わなかった」
幹部室に響いた私の声と
大翔に向けられた瑞樹の哀しい声。
瑞樹に抱かれた女は肩を震わせて泣いていて
その瞳を見て一瞬でわかった。
「か、れん…?」
どうして、なんて言葉にはできずに
「お前が姫をやめるか冷沙を解散するか」
そんな条件を突きつけられて
私は、たったひとつの居場所を手放した。
.
.