【短編】色褪せない夢



夢を抱いた、なんて言ったけど、元々みんなそれぞれ夢を持っていた。

高校1年の8月に、冷沙の夏合宿で語り合ったことも、覚えてる。

「俺は今、児童養護施設で働くために大学で心理の勉強をしているし…

日向はアパレルの店員になった。
ゆくゆくは自分のブランドを持ちたいらしくて、SNSも頑張ってる。ほら、フォロワー2万人超えてすげえ有名になってんだ。

今でも赤髪だ。SNSをやってる1番の理由は、どこにいるかわからない純恋にみつけてもらいたいから、らしいぞ。


優雨はプログラミングにハマったと聞いた。
よくわからんがどっかの大手企業でインターンやりながら変なアプリ作ってた。

コミュニケーションアプリで居場所を作るんだ〜とかなんとか。
俺には難しいことはわからんが、とにかくすげぇってことだ。


瑠夏は教員資格を取るために勉強してる。
冷沙が解散してからも俺たちは集まって勉強に励んだ。

1番成績を伸ばしたのは瑠夏だったんだ。
ほら、何度か純恋が教えてくれたことがあっただろ?

自分が教える楽しさを知って、教師を目指したみたい。そういえばこの前塾バイトで生徒から『ツンデレ先生』って呼ばれてたな。
ツンデレは健在だぞ。


瑞樹は………あれから1番反省してた。
1週間くらいご飯一口も食べなくてゼリーばっか食ってて倒れて、何故か料理に目覚めて、今は日本食の料理屋で修行してる。
自分の店を開いて、純恋に食べてもらうんだって張り切ってた。



俺たちの心にはずっと純恋がいる。
一度手放した俺たちにはこんなこと言う資格はないかもしれないし、

わがままかもしれないけど、

だけど、会ってほしい」

大翔は真剣な眼差しで訴えかけた。




『どこにいても、俺が見つけるよ』
『今度こそ離さないから、一緒に帰ろう』

その言葉を、もう一度信じても良いですか?



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