【短編】色褪せない夢
妹が物心つく前から、黒髪のウィッグや黒いカラコンをつけるようになった。
お父さんもお母さんも、口を揃えて容姿に関して日本ではまだそんなに寛容じゃないからね〜なんて言いながら用意してくれた。
妹の前でもウィッグとカラコンは付けていたから、よそよそしくなった理由は多分、本当の私を見てしまったからだろう。
両親は私たち姉妹を分け隔てなく愛してくれて、たくさんのことを教えてくれた。
私がそろそろ中学卒業なんていう時期に、
横断歩道で信号無視のトラックにはねられそうになっていた子供を助けたお父さんは亡くなってしまった。
歩道にいた数人の歩行者が巻き込まれて何人か亡くなって、
その中にお母さんがいた。