その光の欠片の正体は
降りつもる
「まーた、こんなに散らかして! もしかして私が前に来た時から一度も掃除してないわけ⁉」
ああ、またうるさいのがやってきた。僕は枕に顔を埋めて聞こえないふりをする、もう少し心地良い微睡みの中にいたいんだ。
薄汚れた魔法士学校の寮の部屋の中、僕は彼女を無視して惰眠をむさぼろうとする。
「ちょっと、寝たふりは止めなさいよ。リヨンが起きてるのくらいもう分かってるんだから」
そう言って僕からシーツを剥ぎ取るミリアは悪魔に見える。どうしていつもこうなんだろう、彼女の考えている事はよく分からない。
ミリアは僕から剥ぎ取ったシーツをバタバタとはたいて丸めると、大量の洗濯物が入った籠の上に乗せた。
「本当にリヨンは私がいないと何にもできないのね? ほら、ここだって埃まみれ」
普段は閉め切っている窓、ガタつくそれを力づくで開くとミリアは呆れるように笑った。朝の光が差し込んできて眩しい、それなのにその光の中にいるミリアはキラキラと光ってる。
降り注ぐ光の欠片が彼女を包んでいる、神々しいその姿に僕はぼんやりとミリアを見つめていた。
「見てみなさいよ、リヨン! 埃が降り積もって逆に幻想的に見えるわ、これってちょっと不思議よね」
< 1 / 2 >