その光の欠片の正体は
降りつもる


「まーた、こんなに散らかして! もしかして私が前に来た時から一度も掃除してないわけ⁉」

 ああ、またうるさいのがやってきた。僕は枕に顔を埋めて聞こえないふりをする、もう少し心地良い微睡みの中にいたいんだ。
 薄汚れた魔法士学校の寮の部屋の中、僕は彼女を無視して惰眠をむさぼろうとする。

「ちょっと、寝たふりは止めなさいよ。リヨンが起きてるのくらいもう分かってるんだから」

 そう言って僕からシーツを剥ぎ取るミリアは悪魔に見える。どうしていつもこうなんだろう、彼女の考えている事はよく分からない。
 ミリアは僕から剥ぎ取ったシーツをバタバタとはたいて丸めると、大量の洗濯物が入った籠の上に乗せた。

「本当にリヨンは私がいないと何にもできないのね? ほら、ここだって埃まみれ」

 普段は閉め切っている窓、ガタつくそれを力づくで開くとミリアは呆れるように笑った。朝の光が差し込んできて眩しい、それなのにその光の中にいるミリアはキラキラと光ってる。
 降り注ぐ光の欠片が彼女を包んでいる、神々しいその姿に僕はぼんやりとミリアを見つめていた。

「見てみなさいよ、リヨン! 埃が降り積もって逆に幻想的に見えるわ、これってちょっと不思議よね」


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