その光の欠片の正体は
そう言って笑う、ミリアの方が不思議だと思う。キラキラと輝いているのは埃、そんな中で喜んでるなんて。でも僕はもっとおかしいのかもしれない。今のミリアが今までで一番きれいに見えるんだ、一番かわいいと思ってしまうんだ。
昔から世話焼きなミリアは今まで何度もこうやって僕の部屋を掃除しに来ていた。それが当たり前で、そんな彼女に一度だってこんな感情を抱いた事なんて無かったのに。
まさか僕にそう思わせたのが埃だなんて予想もしなかった。
「じゃあ部屋を片付けるのは止める? そうすれば何度だって見れるかもよ」
冗談半分でそんな事を言えば、ミリアは両手を腰に当て僕を睨んでくる。
「そう言って、リヨンは掃除が嫌いなだけでしょ! ダメよ、今日は綺麗にするまで大好きな本はお預けなんだから」
「ええ? それはあんまりだよ!」
魔法士を目指す僕にとって読書は何より大事な時間なのに! そう訴えてもミリアはちっとも聞いてくれそうにない。
がっくりと肩を落としてベッドから出ると、床に落ちていた本をいくつか拾う。するとまた埃が舞い上がって……
「ふふ、光を纏った魔法士みたい。リヨンはきっとすごい魔法士になれるんでしょうね」
そう言って笑う、ミリアだってとても綺麗だ。僕たちを輝かせるそれは、またゆっくり床へと降りつもる……