願わくば溶けて


彼女は鞄をまさぐり始める。


そして、取り出したのは赤いラッピングが施されたいかにも素人の手作り感満満載の“なにか”だった。


「何ですかそれ?」


「えっ、えーと、今話題に出たチョコです」


「渡しそびれたやつですか」



「はっ、はい。家で食べるとゴミが残りそうなので」


「ふーん」



…… なんだかなぁ。



ペリリと紙を剥ぐ音が静かな部屋に響き渡る。



そうして、赤いラッピングを丁寧に剥がした彼女がチョコレートを1口齧ろうとしたところで、



「あっ!」



「ひゃ、ひゃい!」



良い案を思いつく。


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