願わくば溶けて






✕ ✕ ✕




「寒っ」




寒さの中震えながら首のマフラーに顔を埋める。



今日は汁物かラーメンかな。



そんなことを考えながら僕は家路につく。



カタンカタンと氷の張った階段を滑らないように慎重に上がっていく。



呼吸を深くすると白い息が静かな夜に溶けていった。



鍵を鞄から取り出し鍵穴に差し込もうとするが、




開かない。




かじかんだ手では上手く鍵を差し込むことができなかったのだ。



ガチャガチャと金属音が廊下に響く。



それから数秒鍵と格闘した後



カチャリと勝利の音が鳴った。



やっと開けれた、と喜び半分、鍵も開けれないって年寄りか、という落ち込み半分で家の中に入ろとしたところでそれは耳に届いた。

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