願わくば溶けて
「うっ、うぇっう。じづれんした」
「はい?じづれん?」
泣きすぎて鼻づまりをおこしている彼女の声は実に聞き取りづらいものであった。
「じっ、失恋でずー」
瞼を擦り今度はなんとか聞き取れるレベルの聞き取りづらさで彼女は言葉を発する。
「あぁ、失恋ですね」
「あい、憧れのぜんばいにぢょごれーど(チョコレート)わだしで(渡して)こっ告白じようと思ってたんですげど」
「ぅう、うぐ、うぇっ」
そこから先が彼女にとってよほど辛いのか言葉に詰まりまた泣きじゃくり始める。
「あー、落ち着いて。泣かない。泣かない」