これは、ふたりだけの秘密です
華やかな家族


小笠原(おがさわら)家の朝食は、家族揃ってダイニングルームで取るのが習わしだ。

朝七時。居間にある大きな振り子時計が鈍い音を響かせる時刻。
梅雨の晴れ間か、今朝は青空が広がっている。

テラスへ続く大きな掃き出し窓のカーテン越しに、
ダイニングルームには眩しい朝日が差し込んでいた。

部屋の中央にあるのは、十数人はゆうに座れそうなテーブルだ。
七時過ぎに、当主の倫太郎(りんたろう)とその妻の和泉(いずみ)が席に着く。

程なく長男の孝臣(たかおみ)がスーツ姿でやってくる。

それから長女の彩乃(あやの)が優雅に座った。

「いただこう」

家長の言葉で、皆が一斉に食べ始める。

カトラリーの音もなくマナー通りに全員が食していくが、それぞれの前には好みに合わせた朝食が並べられている。

家長の倫太郎は毎朝和食と決まっているが、妻と長男はコンチネンタルスタイルだし、長女はダイエット中なのかオーガニックのシリアルとフルーツのみだ。

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