これは、ふたりだけの秘密です
いつも穏やかな怜羽が座っているだけで、
さっきまでの緊張感が嘘のようにダイニングルームの空気が和らいでいる。
両親や兄姉に全く似ていないのが、次女の怜羽だ。
背は平均的な高さより少し低めで、華奢な身体つき。
髪は生まれつきウエーブがかって、フワフワと顔を覆うように広がっている。
まとめるのに苦労しているらしく、いつも前髪だけカチューシャで無理やり抑えているが、幼く見えてしまうから本人は気に入らないらしい。
顔立ちは目がパッチリと大きくて可愛い部類といえそうだが、
いつも着ているのは、先ほどまでここで朝食を取っていた人たちの高級なスーツやブランドの洋服とはまったく違うナチュラルなTシャツにティアードスカートだ。
それがまたもうすぐ25歳になる彼女を実年齢より若く見せていた。
「真理亜ちゃんは? ミルクの準備をしましょうか?」
「さっき飲ませたから大丈夫よ。ありがとう」