これは、ふたりだけの秘密です
首都高速を運転しながら郁杜がチラリと怜羽の方を見た。
「またどこかへ寄るのか?」
今日も家探しをするんだろうと言いたそうだ。
「いえ、今のところいい物件がなくて……」
そう言いながら、怜羽は時計を見て時間を確認した。
「そろそろ帰っても大丈夫かな?」
「そろそろ?」
なんとなく気になって、郁杜が怜羽の言葉尻を捉えた。
「今日、小笠原の家でなにか集まりがあるらしいので」
「ええっ。すまない、そんな日に呼び出したのか」
郁杜は焦った。先日から小笠原の家族に失礼なことばかりしてしまった自覚がある。
今日もなにか大切な用があったなら、倫太郎に詫びなければならない。
「とんでもない。私は参加する予定はありませんでしたから……」
のんびりと怜羽が答えるのを聞いて、郁杜は逆に心配になってきた。