これは、ふたりだけの秘密です
結婚しないか?
「ちなみに……今日はなんの集まりだ?」
「なんだったかな? はっきり聞いていなくて……」
「どうして?」
怜羽の話はいつも要領を得ないので、郁杜は彼女に質問ばかりしていることに気がついた。
「家政婦が言ってたのを聞いただけなんです」
「家族からはなにも聞いていないのか?」
つい、郁杜の声が険しいものに変わってしまう。
「いつものことだから、気になさらないでください」
怜羽は気にも留めていないように話している。
もともと家族と自分とは関わりがないと思っているのかもしれない。
「君は、それでいいのか?」
郁杜はどうも引っ掛かりを覚えていた。
怜羽の小笠原家での立場は、客観的に見ておかしなことばかりだ。
「私は気にしていないので……」
クスっと怜羽は笑っているが、郁杜は聞き流せなかった。
「君は……」