これは、ふたりだけの秘密です
「君は、そんなにあの家を出たいのか」
郁杜は、つい強い口調で言ってしまった。
「だから、家を探しています」
怜羽は真剣な目をして頷いた。
郁杜は怜羽と話す度に、見た目と中身が全然違うのに驚かされていた。
そのフワフワした外見からは信じられないほど、強い意志と情熱を感じる。
仕事にも子育てにも全力で取り組んでいて経済的にも自立しているし、
デリケートな感性は側にいて心地よいものだ。
郁杜にとって、怜羽のすべてが不快なものではない。むしろ好ましく感じられた。
「それなら……俺の家に来るか?」
「は?」
戸惑った顔をする怜羽に、郁杜はある提案を持ちかけた。
「颯太の子だとわかった以上、真理亜を放っておけない」
「いえ、大丈夫です。真理亜は私の子としてちゃんと育てますから」
「真理亜を……父親のいない子として育てるつもりか?」
「それは……」