これは、ふたりだけの秘密です


「倫太郎氏はご在宅でしょうか?」

真理亜を抱いたまま郁杜が西原に尋ねた。

「はい。今日は皆さまお揃いだったので……」
「今日、なにかあったんですか?」

「……倫太郎さまの内輪のお誕生祝いを……」

「え?」

郁杜は絶句した。
怜羽は、具体的になんの集まりなのか知らないようだったが
まさか実父の誕生日会だったとは……。

「明日がお誕生日だけど、みんな忙しいから今日にしたのね」

けろりと怜羽は話しているし、西原も気にしていないのか無表情のままだ。
驚いている郁杜に説明するように西原が話を続けた。

「怜羽さんはお父様のお誕生日当日の朝に、プレゼントをお渡しするのが約束事なんですよ」

今日は参加しなくても大丈夫だという意味かもしれないが、郁杜は気になった。

「そうなのか? 怜羽?」


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