これは、ふたりだけの秘密です


「後は……真理亜のことだ」
「はい」

倫太郎は怜羽の過去を郁杜が受け入れてくれると確信したのだろう。
真理亜のことに話を変えた。

「怜羽から、どういうふうに聞いているんだい?」

何故か、倫太郎から探りを入れるような話しぶりで尋ねられて
郁杜は少し疑念を抱いた。大切なことを知っているような口ぶりだ。

「そのことで、お詫びをしないといけないのです……」

今度は郁杜が、告白する番だった。
真理亜の父親が、離婚した母のもとで育った弟であることを倫太郎に正直に話した。

「怜羽さんとパリで出会って付き合っていた様ですが、母の病気をきっかけに別れたんだと思います。弟は、真理亜ちゃんのことは知りません」

「だから、その弟の代わりに君が父親になるっていうのかね」

「確かにそれもありますが……怜羽さんと真理亜ちゃんを守りたいと思ったからです。」

「君が、守る?」
「はい」

力強く、郁杜は頷いた。この誓いを違えるつもりは無い。



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