これは、ふたりだけの秘密です


ひとつ年上の日仏ハーフの朱里は、明るい茶色の髪で、少し青味かかった瞳をしていた。
怜羽から見たら、デザイナーというよりモデルの方が向いていると思ったくらいスタイル抜群の美しい人だった。
出会ったその日に怜羽のセンスを認めてくれた恩人だ。

朱里は食事すらまともに作れない怜羽を見て、
大笑いしながらも手取り足取り家事の基本から教えてくれた。

やがて意気投合したふたりは共同生活をするようになり、
アルバイトしたり家事を分担したりしながら助け合って来たのだ。

もちろん仕事の上でも協力関係だった。
朱里のデザインに合わせていくつもの生地見本を考えたりもした。

『ふたりでブランドを立ち上げたいね』

そんな夢を語りあったほんの二年の付き合いだったが、
怜羽は今でも朱里の存在は家族以上だと思っている。


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