これは、ふたりだけの秘密です


いつも夕食の時間は大人だけで過ごすのだが
今日は早めに郁杜が帰宅できたから、真理亜も一緒にダイニングテーブルに座らせた。
もちろんベビーチェアだが、三人揃っているのがわかるのか嬉しそうだ。
可愛いエプロン姿で、手には一応スプーンを握っている。

「もう、ひとりで食べられるのか?」

真理亜が手にしているスプーンを見て、郁杜が驚いたようだ。

「まさか。やっとごっくん(・・・・)の練習を始めているの」
「離乳食のことか?」

「ええ、少しつぶのあるものに挑戦しているところです」
「へえ~」

郁杜が見ていたら、手遊びをしているのか食べているのかわからない状態だが、
タイミングを見計らって、怜羽が小さなスプーンを真理亜の口元に持っていく。

すると、真理亜がパクリと口に入れて咀嚼しているようだった。

「この前までミルクだったのに……早いな……」

「そろそろつかまり立ちもするから、お誕生日の頃には歩いているかも」

昼間に真理亜を見ていないから、郁杜は立っている姿が想像も出来ないようだ。

「それは楽しみだ」

真理亜の頭を撫でながら郁杜が嬉しそうに呟いた。

「そう? そう思ってくれる?」
「もちろん」


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