これは、ふたりだけの秘密です
あなたがいないと


9月に入って少しずつ朝晩が凌ぎやすくなってきた。

真理亜も外に出かけたいらしく、広い窓から外を指差すことが増えてきた。
近くの公園で遊ばせたり、杉山の店くらいの距離なら怜羽ひとりでも連れて行くことが出来る。

仕事が忙しい時は、日菜子の応援を頼むこともあるが
相変わらず家事は怜羽がこなしており、郁杜も満足しているふうに見える。

三人で暮らし始めてひと月以上が過ぎたが、まだ郁杜からは入籍の話はなかった。

(やっぱり郁杜さん、迷っているのかな……)

少し怜羽は弱気になっていた。

郁杜はこの時期は忙しいらしく、帰宅時間はぐっと遅くなっていた。
なかなか顔を見る時間も話すタイミングもなく、時間だけが過ぎて行った。



< 138 / 166 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop