これは、ふたりだけの秘密です
けして無理やりではない。
その証拠に、郁杜の手は軽くゆっくりと怜羽の身体をなぞっていく。
「怜羽、本当の夫婦になろう」
彼になんて答えればいいのか、怜羽にはわからなかった。
心の中ではその言葉を待っていたのだから、嬉しくて言葉が見つからない。
このまま郁杜に任せてしまいたい……その気持ちしかなかった。
「いいか?」
怜羽は、ゆっくり郁杜の方に身体を向けた。
彼の胸に頬を寄せると、消えそうな声で囁いた。
「あなたが好きです」
それが返事だと、郁杜にも伝わったのだろう。
彼の愛撫が始まった。
怜羽の髪をすくい、頬に触れ、口づけを落とす。
身体のすみずみまで彼の手が触れていくと、そこが順に熱を帯びていく。
(ああ、私は……)
これを望んでいたんだ。
彼に愛されていると感じられる瞬間を待っていたんだ。
「本当の家族になろう」
郁杜の優しい愛撫を受けながら、いつしか怜羽は涙を流していた。
それからはただ夢中で、彼の愛を受け止めた。
きっと郁杜にもわかった筈だ……怜羽は初めてだったと。