これは、ふたりだけの秘密です
「郁杜さん……」
彼の姿を見て、まさかという表情で怜羽が固まった。
「大丈夫か? ケガしていないか?」
郁杜は真理亜を抱き上げたが、
驚いたのか痛かったのか真理亜が泣き出してしまった。
「あ~ん」
「ごめんごめん、急に大きな声を出したからびっくりさせたね」
真理亜は郁杜の腕の中でしばらくぐずっていたが、
逞しい腕の中が気持がいいのかウトウトとし始めた。
「眠そうだから、このままベッドに抱いて行くよ」
「え、ええ……」
怜羽は少し迷っているようだ。
郁杜が突然軽井沢まで来た理由を考えているのだろう。
「怜羽……」
「お願いします。こちらです」
怜羽は覚悟を決めたのか、郁杜を案内するように先に立って歩き始めた。