これは、ふたりだけの秘密です


(やっと真実に辿りつけた)

郁杜は驚くよりも、ホッとしている自分に気がついていた。
やっと真実を口にできたからか、怜羽は俯いて涙を堪えているようだ。

「これで、君と弟の中を割いたと思わなくていいんだな」

一歩、郁杜が窓際の怜羽に歩み寄る。

「弟に遠慮しながら、君を抱きたくない」
「郁杜さん……それは……」

そっと怜羽の側に立つと、郁杜は小柄な怜羽の頬に手をあてて上を向かせた。

「愛している、怜羽」
「郁杜さん……」

「可愛い姪っ子のためだけに結婚する訳ないだろう。君が育てているから真理亜の父親になろうって決めたんだ」

「ホントに?」

「ああ、君と真理亜は俺が守るよ」
「真理亜だけじゃなくて……私も?」

「信じてほしい。君だから、家族になろうって思えたんだ」

怜羽の頬を一筋だけ涙がつたわるのが見えた。
郁杜の大きな手にひと粒、零れ落ちてくる。

「信じます。あなたを愛しているから……」

郁杜が遠慮なく怜羽を抱きしめた。
愛しくてたまらないように、何度も華奢な身体の温もりを確かめる。

「やっと俺の腕の中にきてくれた。もう、勝手にいなくなるなよ」
「ごめんなさい」


郁杜はそっと怜羽に口づけた。
まだ慣れない怜羽はたどたどしく、キスを受け入れる。

「三人で、生きていこう」






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