これは、ふたりだけの秘密です


ひとりで子どもを育てるのには覚悟が必要だ。

怜羽はずっと『小笠原家の娘なのだから働く必要はない』と言われてきた。
優秀な兄や極めて美しい姉と違って、学力も容姿も平凡だと思われていたためだ。

それでも怜羽は、親に決められた人生を歩むより仕事を持って自立したかった。
それがテキスタイルデザイナーを目指したきっかけだ。

母や姉が着ているような高級ブランド品とは縁が無いが、
若い女性や可愛い物が好きな女子学生からは怜羽のデザインは高い人気を得ている。

動物の愛嬌ある顔をアレンジしたり、小花などのありふれたモチーフも
色使いを変えることで上品にもアグレッシブにも変化させてきた。
怜羽のセンスを気に入って、わざわざ指名で仕事を依頼してくれるデザイナーの友人も得た。

  


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