これは、ふたりだけの秘密です
怜羽は男性の顔の部分をアップにした。
そこに映っている男性の顔は、紛れもなく自分と同じだった。
「これは……」
「この子の父親の写真よ」
黒いタートルは誰でも持っているだろうが、その顔は毎日見ている自分のものだ。
自分の顔を見間違える訳がない。
「まさか……あり得ない……」
仕事では冷静に対応している郁杜が狼狽えた。
信じられないが、小笠原家の怜羽は自分が父親だと断言している。
じっとこちらを伺っている彼女の視線は氷のように冷たいし、
まるでゴミを見るような軽蔑した目で自分を見つめている。
「郁杜? どうした?」
ダイニングルームに戻らない彼を心配したのか、孝臣が廊下に顔を出した。