これは、ふたりだけの秘密です
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(やはり、父親だなんて言うんじゃなかった)
怒りにまかせて口走ってしまったことを、怜羽は深く後悔していた。
片岡郁杜は納得していないのか、どこまでも真理亜の存在を否定したいようだ。
怜羽の産んだ子だと信じているのだから『寝た覚えはない』と言うのも
あたり前だ。彼のストレートな言い方が恥ずかしくてたまらなかった。
(まさか、私が間違ってる?)
だが、朱里が持っていた写真はどう見ても郁杜の顔だし名前も"片岡"で合っている。
怜羽は昨夜初めて彼の顔を見た時、朱里を捨てた恋人"カタオカ"だと確信した。
何度も見た写真と同じ顔に出会ったのだから当然ともいえるだろう。
だから彼に話してしまったのだが、身に覚えがないと言い張るので話は堂々巡りだ。
それに彼はどんどん追及してくるので、発言をなかったことには出来そうもない。
(どうしよう……)
つい勢いで郁杜に告白してから、話が面倒な方向へ進みだしてしまった。
もう怜羽には止めようがなかった。