これは、ふたりだけの秘密です
その週のうちに、怜羽に郁杜から連絡があった。
どうしても会って欲しい人物がいるから一緒に京都へ行こうと誘ってきたのだ。
子どもがいるから遠出はできないと断ったのだが、
『真理亜の父親の件だ』と言われたら行かざるを得ない。
日帰りならと承諾の返事をしたら、今週の土曜日に行くと言う。
(せっかちな人だな……)
真理亜の父親だと、そんなに認めたくないのかと嫌な気分になった。
日菜子や西原に真理亜のことで片岡郁杜と京都に行くと正直に話すと
子守をすんなり引き受けてくれた。
『大丈夫です。ゆっくりしてきてください』
日菜子は事情を知っているから、京都へデートに行くとでも思ったのか
いつになくニコニコしている。
逆に西原は心配そうだ。
片岡郁杜が有名な会社の一族だと知っているし、小笠原家とも関りが深い。
怜羽となんの接点があるのか疑問に思っているようだ。
土曜の朝、郁杜とは東京駅で待ち合わせた。