これは、ふたりだけの秘密です
「しばらくお休みされてたみたいですが、少しづつ庭作りの依頼を受けていらっしゃいますよ」
さすがに孝臣の情報は早い。
「なら孝臣さんから、お願いしてみてくださる?」
「いいですが……希望者が多くて、一年は待つと聞いていますよ」
「あら、どうしましょ」
一年待っているうちに妻の気が変わりそうだ。倫太郎がストップをかけた。
「今のままでいいじゃないか」
「そうねえ……」
つまらなさそうだったが、和泉はすぐに諦めたようだ。
「元々あそこはお義母様のお気に入りの場所だったから、そのままにしておきましょう」
その別荘は和泉にとっての姑、松代が7年前に亡くなるまでずっと住んでいた場所だ。
姑の趣味で建てられて別荘だからいっそ立て直したいと思っているが
夫の手前、口には出せないでいた。