これは、ふたりだけの秘密です
怜羽の事情
「おはよう! 日菜子さん、朝ごはんお願いできる?」
怜羽はダイニングに入るなり、明るく声をかけてきた。
「おはようございます、怜羽さま。いつものでよろしいでしょうか?」
「ありがとう」
怜羽は、朝からしっかり食べるタイプで、いつもアメリカンスタイルの朝食だ。
心得ている日菜子は、温かいスクランブルエッグを作ろうとキッチンへ向かった。
「おはようございます」
「あ、おはようございます!西原さん」
西原がグラスを乗せたトレーを持ってダイニングに入ってきた。
「怜羽さん、まず野菜ジュースを飲みましょうね」
いつの間に準備していたのか、昨夜遅くまで起きていたらしい怜羽に
栄養補給をと考えたのだろう。
幼子に話しかけるように優しく言うと、怜羽の前にグラスを置く。
「は~い」
目の下に隈を作っている怜羽も、苦手な野菜ジュースを口にした。
怜羽の健康に人一倍気配りしている西原は、その様子を見て満足そうに微かに口元を綻ばせていた。