これは、ふたりだけの秘密です


明るい声に迎えられて、怜羽は肩の力が抜けていった。
初対面の人と話すのは苦手だが、この家の人たちは優しい雰囲気だ。

優杏は少し目立つお腹をさするようにして座っていた。
怜羽もつい、お腹の方を見てしまう。

「七か月になるんです……」

ほんのり頬を赤らめている姿は、母になる喜びに溢れているように見えた。
夫の煌斗は、妊娠している妻を満足そうに見つめている。

(いいご夫婦だわ……)

怜羽まで温かい気持ちになってきた。
三谷が四人の前に紅茶とケーキを置いてから、真理亜を抱き取ってくれた。

「どうぞ、ゆっくりお茶を召し上がって下さい。その間、赤ちゃんのお世話をさせてくださいね」
「ありがとうございます」


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