これは、ふたりだけの秘密です
優杏は、もう真理亜に夢中だ。
赤ちゃん特有の匂い、動き、言葉……すべてに魅了されている。
「怜羽さんの事情は、煌斗さんからお聞きしています」
優杏も、真理亜が颯太の子だと信じているのだ。
「郁杜さんや煌斗さんの弟さんの子だったらかわいい姪ですものね。
もうすぐ生まれてくる私たちの子どもと仲良くしてください」
「あ、ありがとうございます……」
怜羽は片岡家に来てから、戸惑ってばかりだ。
これまで朱里以外に、無条件で自分を受け入れてくれる人たちに出会ったことがなかったのだ。
まるで幼いころ、祖母の松代に可愛がってもらっていた頃のようだ。
小笠原の家で粗末にされたわけではないが、
あの屋敷の中で怜羽は孤独だったし、ひんやりとした愛情しか感じなかった。
(温かい家……)