これは、ふたりだけの秘密です
「私たち、平日はここに住んでいて週末は私の実家に行くんです」
「え? 二か所で暮らしているんですか?」
優杏は楽しそうに彼女たち夫婦の生活を話してくれた。
忙しいはずの煌斗も、苦も無くそれを受け入れているようだ。
「イングリッシュガーデンが見事でね、別荘感覚かな?」
ふたりは仕事と家庭を上手く両立しているようで羨ましいくらいだ。
「素敵ですね」
「是非、真理亜ちゃんといらしてくださいね」
「ありがとうございます。イングリッシュガーデン楽しみにしています」
それからは三谷の手料理にもてなされ、楽しいひと時を過ごした。
真理亜にミルクを飲ませる時は、優杏は興味深そうにじっと見ていた。
「怜羽さん、母乳は?」
「えっ?」
「あ、なにか母乳じゃない理由があったのならごめんなさい」
「いえ、フランスからの移動があったりしたので……」
怜羽はとっさに言い訳を探した。
自分に母乳が出るはずないのだから、女性ならではの質問に冷や汗をかいた。
(また、嘘をついてしまった……)
楽しかった気分も嘘で台無しになってしまう。
それでも気を取りなおして、真理亜の話題を続けた。
「近ごろ真理亜、寝返りやお座りも出来るんですよ」
「まあ!」
怜羽が緞通が汚れない様にバスタオルを敷いてから真理亜を寝かせた。
その横にお気に入りのおもちゃを置いてやるとクルリと寝返った。
「きゃあ、カワイイ!」