これは、ふたりだけの秘密です


いきなり郁杜がビジネスマンの顔になったので、煌斗や優杏も驚いていた。

「私は仕事しているってお伝えしてましたよね?」
「ああ。だが、孝臣からも彩乃さんからもデザインの仕事なんて話を聞いたことがなかったから……」

郁杜は働くなら小笠原家の関連企業で、秘書とか翻訳とかの仕事だと思い込んでいたらしい。

「君はフリーで働いているのか?」
「はい。フリーです」

「そうか……小笠原家とは関係ないんだな」
「家族は私の仕事を知らないと思います」

「えっ?」

今度は優杏が大きな声を出した。

「こんな人気の商品なのに、ご家族は知らないんですか?」
「人気かどうかわかりませんが、こういうグッズに興味ないと思いますよ」

怜羽が真面目に答えると、優杏は納得したように頷いた。

「確かに、小笠原家の皆さまなら……」

デパートに並ぶ高級ブランド品ではないから、
可愛い商品など知らなくても当たり前かもしれないと納得したようだ。



< 96 / 166 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop