これは、ふたりだけの秘密です
そのあと怜羽は、郁杜からの質問攻めにあった。
「フリーで仕事をしていて、どれくらいの収入に?」
「え?年収ですか?」
「会社名は? 個人事業主としてか?」
「税金対策はどうしてる?」
「……」
彼からの矢継ぎ早の質問は、銀行で融資の審査を受けている気分にさせられた。
怜羽は女手ひとつで片岡家の姪を育てる以上、経済力を問われるのは覚悟していた。なにしろ真理亜を育てていく力があると証明しなくてはならない。
(これだけは嘘をつけないわ)
ひとつひとつ答えられる範囲で、怜羽も丁寧に答えていく。
その様子を側で見ていた煌斗と優杏はあきれ顔だ。
「兄さん、怜羽さんに失礼だろ。真理亜ちゃんも呆れてるぞ」
煌斗が兄を嗜めるように口を挟んだが、郁杜には効果がなかった。