これは、ふたりだけの秘密です
思わぬ話になってしまたが、そろそろ四時近くなってきた。
興奮してお昼寝をしなかった真理亜がぐずり始めたので、怜羽はお暇を告げることにした。
「今日はありがとうございました」
優杏はまだ真理亜を見ていたいらしく、名残惜しそうだ。
「こちらこそ、楽しかったわ怜羽さん。またお会いしましょうね」
「はい」
怜羽と優杏は女同士、意気投合していた。
お互いジャンルは違うがデザイナーという職業だし、
これから子育てをする同士のような関係になったせいかもしれない。
家政婦の三谷も真理亜から離れにくそうだ。
「怜羽さん、真理亜ちゃんといつでもいらしてくださいね」
「三谷さんったら、真理亜ちゃんを独占したいんでしょ」
「だって、カワイイんですもの……優杏さんの赤ちゃんが待ちきれませんね」
優杏がまた頬を染めた。怜羽はその幸せそうな笑顔が少し羨ましいなと思った。
「じゃあ、送るよ」
郁杜がソファーから腰を上げて怜羽に声をかけてきた。
「すみません。お世話になります」
「いや、こっちが無理に誘ったから」
賑やかに見送られて、怜羽たちは片岡家を後にした。