【完結】私、実はサレ妻でした。


 夫と離婚するために、私は負けないって決めたの。子供たちのために、私は強くなるって決めたんだから。
 子供たちには可哀想な思いをさせたくないし、母親として子供たちを守りたいって思ってる。 

「……愛してるのに、愛してるのに」

 夫のことを愛してるからこそ、憎い。愛せるからこそ、辛い。 
 あのレシートを見てしまってから、私は正気ではいられない。



◇ ◇ ◇


 【円香】の正体が分かったのは、それから一週間後のことだった。
 
「はい、もしもし」

「あ、佐伯実乃梨さんですか? 僕、四葉探偵事務所の四葉です」

「あっ……探偵さん」

 その電話は、依頼していた四葉探偵事務所の四葉さんからの電話だった。

「あなたが言っていた、あの゙円香゙という女の正体が分かりましたよ」

「えっ、本当ですか!?」

 円香の正体が……。一体誰なのかしら。

「円香という女ですが、本名は宍倉円香というみたいです」

「宍倉……円香……」

 聞いたことのない、名前……。

「宍倉円香はカフェ、ベリーズという所で働いています。 旦那さんがよくランチタイムで行くお店のようで、そこで働いている円香さんと、旦那さんが話している姿を目撃されていましたよ」

「カフェ、ベリーズ……」 
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