【完結】私、実はサレ妻でした。


「どうやら円香さんから旦那さんの方に、アプローチをかけたようですね。 昨日のお昼も、旦那さんはカフェベリーズでランチをしていました。そして帰り際、二人は笑顔で手を振り合っていました」

 夫がよく行くカフェがあるということも、私は知らなかった。
 ランチはいつも会社の食堂で食べていると聞いていたから、まさか外でランチしていたなんて思わなかった。

 ……私はいつも残り物をお昼に食べているのに、夫はいつもカフェでランチを食べていたと知っただけで、腹が立つ気がする。

「……そうですか。ランチを」

「はい。実際に今日、僕もカフェベリーズでランチをしに行ってみました。……それでもう一つ、分かったことがあるんですけど」

「分かったこと……?」

 え、今度は何だろう……。

「宍倉円香の左手の薬指には、指輪が付いていました」

「指輪……?」

 左手の薬指に、指輪……? それってまさかーーー。
 宍倉円香も、既婚者ってこと……?

「その指輪は、宍倉円香が旦那さんからプレゼントされたもののようですよ」

「……え?」

 夫が、宍倉円香にプレゼントしたもの……?
 ウソ……。そんなの、ウソよ……。

 そんなの、信じられないーーー。
< 17 / 76 >

この作品をシェア

pagetop