【完結】私、実はサレ妻でした。
「どうやら円香さんから旦那さんの方に、アプローチをかけたようですね。 昨日のお昼も、旦那さんはカフェベリーズでランチをしていました。そして帰り際、二人は笑顔で手を振り合っていました」
夫がよく行くカフェがあるということも、私は知らなかった。
ランチはいつも会社の食堂で食べていると聞いていたから、まさか外でランチしていたなんて思わなかった。
……私はいつも残り物をお昼に食べているのに、夫はいつもカフェでランチを食べていたと知っただけで、腹が立つ気がする。
「……そうですか。ランチを」
「はい。実際に今日、僕もカフェベリーズでランチをしに行ってみました。……それでもう一つ、分かったことがあるんですけど」
「分かったこと……?」
え、今度は何だろう……。
「宍倉円香の左手の薬指には、指輪が付いていました」
「指輪……?」
左手の薬指に、指輪……? それってまさかーーー。
宍倉円香も、既婚者ってこと……?
「その指輪は、宍倉円香が旦那さんからプレゼントされたもののようですよ」
「……え?」
夫が、宍倉円香にプレゼントしたもの……?
ウソ……。そんなの、ウソよ……。
そんなの、信じられないーーー。