【完結】私、実はサレ妻でした。
【苦しい愛情】
「パパ~ママ~。おやすみなさぁーい」
「おやすみなさぁーい」
「はーい。おやすみ」
「おやすみ」
夜八時半時になり、子供たちは兄弟仲良く寝室へと向かって行った。
「本当にいい兄弟になったな、あの二人」
そんな子供たちの後ろ姿を眺めながら、夫はそんなことを口にした。
「……うん、そうだね」
子供たちの成長を感じるのはとても嬉しいことだし、親としてはとても感慨深い。
「なあ、実乃梨」
そして突然、夫に問いかけられる。
「……何?」
夫は私に何を言いたいのだろう。
「今度二人だけで、旅行でも行かないか?」
「……え?」
え、いきなり何……? 何で突然、旅行……?
「いや、子供出来てから子育てに忙しくて、二人だけで旅行なんて行けなかっただろ?……それにさ、俺たち新婚旅行も行けなかっただろ?」
確かに新婚旅行には、行けなかった。子供が出来て結婚しても、子供が産まれてからは子育てに集中してしまっていたから。
なかなかそんな予定も立てることは、出来なかった。
「でも今更、新婚旅行なんて……。それ子供たちを預けないといけないし」
それに浮気している夫と二人で旅行なんて、行きたくない。……行きたい訳がない。
そもそも私たち、結婚式もしていないのに。