【完結】私、実はサレ妻でした。


「ママ、おねぼうさんだったの~?」

「そう。寝過ぎちゃったみたい」

「ママ、おねぼうさぁーん」

「ごめんねぇ」

 子供たちにお寝坊さんだと言われてしまったが、こうなったのも自分のせい。
 仕方ないと言いたい所だけど、そういう訳にもいかない……。

「空斗、流斗。パパは今日お家でお仕事だから、帰ったらパパと遊ぼうか」

「やったぁ!あそぶ!」

「ぼくもっ!」

 えっ……。家で仕事? そんなの私、聞いてないんだけど……。
 
「よし、早く食べて保育園行く準備しような」

「はぁーい!」

「はぁーい!」

「よし、いい返事だ!」

 朝からこんな親子のやり取りを見ていると、我が家は平和だなと感じてしまう。
 子供たちには優しい父親で、大好きな父親だ。

「ママ、いってきまーす!」

「いってきまーす!」

「行ってらっしゃい。 パパ、子供たちのことよろしくね」

「任せろ」
 
 夫と子供たちを見送った後、私は朝ご飯の後片付けを始める。
 夫はいつも通りに私に接してきた。何事もなかったかのように。

 ……一体、夫はどういうつもりなのだろう。

「……はぁ」

 夫が何を考えているのか、分からない。 
 私の言ったことを本当に、理解したのだろうか……。
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