【完結】私、実はサレ妻でした。
「……そうだな。本当にあの子たちには、驚かされることばかりだよな」
「うん。だけど楽しそうだし、あの子たち。……健康で明るい子になってくれてるってだけで、私は嬉しいかな」
子供たちは私の宝物。あの子たちだけは、何があっても私が守るの。
夫ともし離婚することになっても、私はあの子たちを絶対に手放したりはしない。 一人ででも、立派な子に育て上げてみせる。
あの子たちが悲しむようなことがないように、明るく楽しく過ごしてみせるんだから。
「……実乃梨は本当に、いい母親だな。立派だよ」
「そうかな?」
「ああ、やっぱり母親は強いよな。……俺は全然、ダメな父親だけど」
そうね……。あなたは夫としても、父親としても全然ダメね。
私や子供たちをこんな風に悲しませて、傷付けている。あなたのその言葉や思いやりは、私たちを傷付けているだけだということに、あなたはまだ気付いていない。
ーーーあなたは夫としても失格だし、父親としても失格。
「実乃梨、この絵額縁に入れて飾らないか?ここに」
「うん。良いアイデアね」
私はそんな複雑な思いを抱えながらも、いつも通りに接するしかない。
離婚するためには、離れるためには、それしか今は方法がない。
……何も悟られないようにするしかない。