【完結】私、実はサレ妻でした。


「明日、額縁買ってくるわね」
 
「お、ありがとう」

 子供たちだけが、今の私たちを夫婦として、そして家族として成り立たせてくれる唯一のカギ。
 子供たちがいるからこそ、決断は慎重になる。

「もうそろそろ寝ましょう」

「そうだな」
 
 私たちは子供たちの寝室へと向かい、子供たちの寝顔をそっと覗く。
 可愛い寝顔が二つ、本当に愛らしいと思える。

「もう、この子は……」

 空斗はいつも寝てると布団がズレている。寝相があまり良くないのね。

「どんな夢、見てるのかな」

「さあな。……さ、俺たちも寝よう」

「……うん」

 私たちは自分たちの寝室へと戻り、二つ並んでベッドに潜る。

「……なあ、実乃梨」

「何?」

 夫は私をそっと抱き寄せ、私を背中から抱きしめる。

「実乃梨はいつも暖かいな」

「……そうかな」

「ああ。実乃梨の暖かさは、飛行機で言うとファーストクラスだな」

 と、夫は言ってくれた。

「え、何それ……」

 意味が分からないと思いながらも、昔から夫はこうだったなと思った。

 夫はいつも私に愛の言葉をたくさんくれて、和ませてくれたりした。
 私が辛い時はそばにいて励ましてくれて、慰めてくれて……。
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