【完結】私、実はサレ妻でした。


 そんな夫とだから私は結婚したいと思ったし、赤ちゃんが出来た時も嬉しくて、産みたいと思ったんだ。
 やだ、私ったら。そんな懐かしい気持ちを思い出すなんてーーー。

「おやすみ、実乃梨」

「……おやすみ、奏雨」

「実乃梨、もう一回奏雨って呼んで」
 
 夫の名前を呼んだだけなのに、夫は嬉しそうだった。
 
「え、イヤよ……」

「いいから、もう一回呼んで」

「……奏雨」

 仕方なく、もう一回夫の名前を呼んであげる。

「ありがとう。……おやすみなさい」

「おやすみなさい」

 私は枕元の電気を消し、眠りについた。





 そして週明けの月曜日ーーー。

「行ってらっしゃい」
 
「パパ~がんばってねっ!」

「いってらっしゃい!パパ!」

「おー。行ってきます」 

 私と子供たちで、出張という名の不倫旅行に出掛ける夫を玄関で見送った。
 出張というので気になった私は、夫の会社に聞いてみたが、やはり夫の出張というは嘘だった。

 あれは絶対に不倫旅行に違いない。相手は絶対に宍倉円香だ。
 不倫旅行かもしれないというのも、あらかじめ四葉さんに伝えていた私は、四葉さんに不倫旅行の証拠写真を撮って来てほしいとお願いした。
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