【完結】私、実はサレ妻でした。


 空斗と流斗は、パパにもらった新幹線のおもちゃを見て嬉しそうに笑っていた。
 子供たちは相当、喜んでるみたいだ。 

「パパ、ありがとうっ!」

「パパ、ありがとうっ!」

「どういたしまして。二人で仲良く遊ぶんだぞ」

「はぁーい!」

 子供たちには優しく、愛情を持って接してくれている夫。
 だけど夫の浮気を知ってしまった以上、私はもう後には引けない。

「ママにも。はい、お土産」

「え?……私にも?」

「当たり前だろ? はい、ママ」

 夫は私に、小さな紙袋をくれた。

「あ、ありがとう……パパ」
 
「開けてみて」

「……う、うん」

 私は夫からもらった紙袋から包装紙を取り出して、それをビリビリと破いた。

「……えっ、これって?」

「気に入ってくれた?」

 夫がくれたのは、可愛いパッケージの化粧水と乳液のセットだった。  

「これって結構、高いヤツじゃないの?」

「いいんだよ。ママにはいつまでも、キレイでいてほしいから」

 私にいつまでもキレイでいてほしいなんて……。何を言っているのだろう。
 そんな言葉、信じられる訳がない。

「ママキレイだもんねっ!」

「うんっ!キレイッ!」

「……ありがとう、みんな」

 子供たちにキレイだと言ってもらえて、私は幸せ者だな。
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