【完結】私、実はサレ妻でした。
「あ、ありがとうございます」
「ミックスサンド、少々お待ちください」
「はい」
そしてお盆を持っているその手から見えたのは、夫からもらった思われる指輪であった。
……やっぱり、指輪している。 夫がプレゼントした、指輪を。
「あの、宍倉円香さん」
「え!?……な、なんで私の名前を?」
宍倉円香は、不思議そうに私に問いかけてくる。
「だってそこに書いてあるじゃないですか?宍倉円香って」
私がそう言うと、宍倉円香は「あっ……」と驚いたような表情を見せた。
「宍倉円香さん。ここはいいお店、ですね」
「あ、ありがとうございます。……では失礼します」
宍倉円香は、慌てたように離れていった。
「……あの態度、やっぱりおかしい」
やっぱり宍倉円香は、私のことを知っているーーー。
◇ ◇ ◇
「すいません。お会計お願いします」
「お待たせしました。お会計ですね」
食事を終えた後、私は会計を済ませカフェを出た。
「……よし」
私は帰りにスーパーに寄り、夕飯の食材を買って帰った。
「ただいま~」
「あ、ママだっ!」
「ママ~!おかえりっ!」
帰ってきた私を出迎えたのは、元気な子供たちの笑顔だった。